BTS、小さな(ちいさな)幸せ(しあわせ)」にテンション爆上げ(あげ)…ドキュメンタリーで見せ(みせ)素顔(すがお)とプロ意識(いしき)

2013(ねん)韓国(かんこく)で、14(ねん)日本(にっぽん)でデビュー。7月3(にち)発売(はつばい)された日本(にっぽん)10thシングル「Lights/ Boy With Luv」は、(はつ)(しゅう)62.1(まん)(まい)売り上げる(うりあげる)(だい)ヒットを記録(きろく) (c)2019 BIG HIT ENTERTAINMENT Co.Ltd., ALL RIGHTS RESERVED.

 韓国(かんこく)生まれ(うまれ)今や(いまや)世界(せかい)のミュージックシーンで活躍(かつやく)するBTS。彼ら(かれら)のツアードキュメンタリー映画(えいが)「BRING THE SOUL:THE MOVIE」が、8(つき)7(にち)から12日間(にちかん)限定(げんてい)世界(せかい)同時(どうじ)公開(こうかい)される。



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 グラミー(しょう)授賞(じゅしょう)(しき)で、アジアのアーティストとして初めて(はじめて)プレゼンターを務め(つとめ)、ビルボードミュージックアワードで2(かん)達成(たっせい)。ホールジーやエド・シーランをはじめとするポップス(かい)のビッグネームとのコラボレーションに、ユニセフのグローバルサポーター就任(しゅうにん)……。

 連日(れんじつ)のように飛び込ん(とびこん)でくるビッグニュースの主人公(しゅじんこう)、それが7人組(にんぐみ)のボーイズグループBTSだ。

 韓国(かんこく)弱小(じゃくしょう)事務所(じむしょ)から生まれ(うまれ)、デビューから5(ねん)足らず(たらず)で、“アジアの音楽(おんがく)無視(むし)してきた”アメリカやイギリスをはじめとする世界(せかい)のミュージックシーンに、風穴(かざあな)をあけた。

 今月(こんげつ)7(にち)(ぜん)世界(せかい)同時(どうじ)公開(こうかい)される映画(えいが)「BRING THE SOUL:THE MOVIE(ブリングザソウルザムービー)」は、昨年(さくねん)8(つき)韓国(かんこく)・ソウルでスタートし、今年(ことし)4(つき)まで(ぜん)世界(せかい)20都市(とし)(けい)42公演(こうえん)で125(まん)(にん)観客(かんきゃく)動員(どういん)した「BTS WORLD TOUR“LOVE YOURSELF”(ワールドツアーラブユアセルフ)」に密着(みっちゃく)したドキュメンタリーだ。MLBのニューヨーク・メッツのホームグラウンドであるシティーフィールドで4(まん)(にん)魅了(みりょう)した北米(ほくべい)ツアーから、イギリス、ドイツ、オランダ、フランスを回っ(まわっ)たヨーロッパツアーまでの彼ら(かれら)姿(すがた)追う(おう)

 物語(ものがたり)は、ヨーロッパツアー最終(さいしゅう)()翌日(よくじつ)、7(にん)がフランス・パリの小さな(ちいさな)ルーフトップテーブルに集まる(あつまる)ところから始まる(はじまる)。ワイン片手(かたて)にコース料理(りょうり)舌鼓(したつずみ)打ち(うち)ながら、これまでのツアーについて振り返る(ふりかえる)7(にん)映画(えいが)はその“打ち上げ(うちあげ)風景(ふうけい)と、各地(かくち)でのライブステージ、ARMYと呼ば(よば)れるファンの熱気(ねっき)やその舞台裏(ぶたいうら)交互(こうご)挟み(はさみ)ながら進ん(すすん)でいく。そこには、()浮く(うく)ようなナレーションも、ドラマチックな演出(えんしゅつ)もない。ステージという「(ひかり)」の世界(せかい)と、そこに向かう(むかう)までの「(かげ)」の世界(せかい)行っ(おこなっ)たり()たりする彼ら(かれら)姿(すがた)を、ありのまま、淡々(たんたん)映し出す(うつしだす)だけだ。

 映画(えいが)全編(ぜんぺん)から漂う(ただよう)のは「(あい)」の香り(かおり)だ。メンバーがメンバーに対して見せる(みせる)(あい)、スタッフへの(あい)、BTSの分身(ぶんしん)とも言える(いえる)ARMYたちに与える(あたえる)(あい)反対(はんたい)にARMYたちから与え(あたえ)られる(あい)、そして「自分(じぶん)自分(じぶん)贈る(おくる)(あい)」。さまざまな(あい)が、映画(えいが)端々(はしばし)散らばっ(ちらばっ)ている。

(あい)」は、BTSにとって、とても大切(たいせつ)言葉(ことば)だ。特に(とくに)今回(こんかい)のツアーは、「本当(ほんとう)(あい)自分(じぶん)愛する(あいする)ことから始まる(はじまる)」という信念(しんねん)のもとに始まっ(はじまっ)たアルバムシリーズ「LOVE YOURSELF」を引っさげ(ひっさげ)行わ(おこなわ)れたものであることから、映画(えいが)前提(ぜんてい)に「(あい)」があるのは当たり前(あたりまえ)のこととも言える(いえる)

 映画(えいが)()て、「BTSの(あい)」について、(さい)確認(かくにん)したことがある。それは、彼ら(かれら)(あい)は、「(ひと)救う(すくう)」ということだ。

 (げき)(ちゅう)長く(ながく)過酷(かこく)なツアー日程(にってい)のせいもあり、彼ら(かれら)度々(たびたび)思い(おもい)もよらないハプニングやアクシデントに遭遇(そうぐう)する。例えば(たとえば)、パリ公演(こうえん)体調(たいちょう)崩し(くずし)たせいで思う(おもう)ように(こえ)()ず、苦しむ(くるしむ)V。そんな(かれ)支え(ささえ)たのは、同い年(おないどし)のJIMINだった。この(ころ)、JIMINはJIMINで大きな(おおきな)問題(もんだい)抱え(かかえ)ていた。にもかかわらず、(はつ)のフランスライブでベストなパフォーマンスを見せ(みせ)られないふがいなさに(した)向く(むく)Vの(かた)抱き(いだき)笑い(わらい)、ともに歌い(うたい)、Vを暗闇(くらやみ)から救い出す(すくいだす)

 ロンドン公演(こうえん)のリハーサルでけがをしたJUNG KOOKもまた、それぞれのメンバーがそれぞれの(かたち)見せる(みせる)(あい)救わ(すくわ)れ、笑顔(えがお)取り戻し(とりもどし)ていく。特に(とくに)公演(こうえん)()のJINとJUNG KOOKのやりとりには、JINらしさがよく表れ(あらわれ)ている。そんな彼ら(かれら)姿(すがた)は、自分(じぶん)たちの予想(よそう)をはるかに超える(こえる)大きな(おおきな)うねりを、()取り合っ(とりあっ)乗り越える(のりこえる)同志(どうし)(あい)であふれている。

 映画(えいが)にはARMYと交わし(かわし)合う(あう)(あい)も、たっぷりと描か(えがか)れている。7(にん)は、常々(つねずね)「ARMYの(あい)のおかげで自分(じぶん)たちはここにいる」と言う(いう)。それはSNSを通じ(つうじ)たARMYの発信(はっしん)(りょく)が、(いま)世界(せかい)(てき)人気(にんき)要因(よういん)一つ(ひとつ)となっているということもあるだろう。だが何より(なにより)、ARMYの声援(せいえん)により、つらい(とき)にも自分(じぶん)たちが立ち上がる(たちあがる)ことができるということを知っ(しっ)ているからだ。ライブシーンにはどれも、割れ(われ)んばかりのARMYの歓声(かんせい)響き(ひびき)渡っ(わたっ)ている。時に(ときに)(こえ)がかすれて歌え(うたえ)ないVに向け(むけ)て、時に(ときに)椅子(いす)座っ(すわっ)歌う(うたう)JUNG KOOKに向け(むけ)て、「大丈夫(だいじょうぶ)だよ」「(わたし)たちがついているよ」と精いっぱい(せいいっぱい)(こえ)叫ぶ(さけぶ)。7(にん)もARMYに想い(おもい)届ける(とどける)べく、全力(ぜんりょく)投球(とうきゅう)歌っ(うたっ)踊る(おどる)。BTSとARMYの想い(おもい)交差(こうさ)するライブシーンは、(あい)交歓(こうかん)にも見える(みえる)

 (げき)(ちゅう)、7(にん)一貫(いっかん)して見せる(みせる)のは、「プロ意識(いしき)」だ。

 例えば(たとえば)JUNG KOOKは、ソウルコンサートで自ら(みずから)起こし(おこし)一瞬(いっしゅん)のハプニングを許せ(ゆるせ)ず、2カ月たったパリ公演(こうえん)のあとにまで、悔し(くやし)さをにじませる。いつもにこにこしているイメージの強い(つよい)J-HOPE(ジェイホープ)は、ライブをモニタリングしながら、普段(ふだん)テレビの(まえ)では見せ(みせ)ない(かお)をのぞかせ、音楽(おんがく)(めん)での“チームの(よう)”SUGA(シュガ)は、「寝る(ねる)時間(じかん)すらない」と嘆き(なげき)ながらも、自ら(みずから)課せ(かせ)られた仕事(しごと)打ち込む(うちこむ)。その姿(すがた)は「プロだから」という言葉(ことば)では説明(せつめい)できないほどストイックだ。

 BTSはデビュー以来(いらい)全て(すべて)のステージ、全て(すべて)(きょく)に、一寸(いっすん)妥協(だきょう)許さ(ゆるさ)ず、一つ(ひとつ)一つ(ひとつ)動作(どうさ)(たましい)込め(こめ)全力(ぜんりょく)投球(とうきゅう)してきた。たとえ、満身(まんしん)創痍(そうい)状態(じょうたい)だったとしても、だ。映画(えいが)でもそんな“BTSの代名詞(だいめいし)”と言える(いえる)パフォーマンスシーンがふんだんに登場(とうじょう)する。7(にん)がステージで歌っ(うたっ)踊る(おどる)姿(すがた)は「まぶしい」の一言(ひとこと)だ。だが、それまでの映像(えいぞう)()ていれば気づく(きずく)はずだ。その輝き(かがやき)決して(けっして)スポットライトの(ひかり)ではなく、彼ら(かれら)のひたむきさから生まれ(うまれ)ていることを。(つぎ)のステージに立つ(たつ)までの苦悩(くのう)努力(どりょく)彼ら(かれら)()(あせ)(なみだ)結晶(けっしょう)だということを。

 プロフェッショナルな(かお)見せる(みせる)一方(いっぽう)で、彼ら(かれら)は20(だい)青年(せいねん)らしい(かお)覗か(のぞか)せる。

 特に(とくに)印象(いんしょう)(てき)だったのは、「些細(ささい)なこと」に幸せ(しあわせ)感じる(かんじる)姿(すがた)だ。異国(いこく)のレストランで出さ(ださ)れた庶民(しょみん)(てき)韓国(かんこく)料理(りょうり)にテンションを爆上げ(あげ)し、オヤジギャグで盛り上がる(もりあがる)公園(こうえん)散歩(さんぽ)しながら「(そと)空気(くうき)当たる(あたる)と、生き(いき)心地(ここち)がする」とつぶやき、プライベートジェットに乗り込め(のりこめ)ば、平行(へいこう)まで倒れる(たおれる)椅子(いす)のリクライニングに(こえ)上げ(あげ)感動(かんどう)する。ワールドスターになった(いま)も、彼ら(かれら)幸せ(しあわせ)はそんな些細(ささい)なことだったりする。(うら)返せ(かえせ)ば、そんな普通(ふつう)のことが難しい(むずかしい)環境(かんきょう)だということだろう。彼ら(かれら)無邪気(むじゃき)姿(すがた)観る(みる)とそれが少し(すこし)不憫(ふびん)感じ(かんじ)たりもするが、「普通(ふつう)感覚(かんかく)忘れ(わすれ)ていない」姿(すがた)にホッとしたりもする。

 これまで、(だれ)想像(そうぞう)できなかった多く(おおく)のことを成し遂げ(なしとげ)てきたBTS。彼ら(かれら)がなぜここまで世界(せかい)愛さ(あいさ)れるのか、(いま)までのグループと(なに)違う(ちがう)のか。はっきりとはつかめないでいた。

 だが、それが(いま)はわかるような()がする。その答え(こたえ)が、この映画(えいが)にはある。

AERA 2019(ねん)8(つき)12・19(にち)合併(がっぺい)増大(ぞうだい)(ごう)

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