「Amazon Go」の(そと)にホームレスがずらり…テック大国(たいこく)真実(しんじつ) 米国(べいこく)ベイエリアの(ひかり)(かげ)

(おく)(まん)長者(ちょうじゃ)とホームレス

日本(にっぽん)ではいまだにシリコンバレーという呼び(よび)(かた)広く(ひろく)使わ(つかわ)れていますが、近年(きんねん)ではその名称(めいしょう)想起(そうき)するスタートアップの活動(かつどう)がサンフランシスコなど都市(とし)()にシフトしつつあります。

そのため、現地(げんち)では従来(じゅうらい)シリコンバレーと呼ば(よば)れていた地域(ちいき)とサンフランシスコを合わせ(あわせ)て「ベイエリア」と総称(そうしょう)することがいまや一般(いっぱん)(てき)です。そのべリエリアに今夏(こんか)に2週間(しゅうかん)ほど滞在(たいざい)したのですが、そこで目の当たり(まのあたり)にしたのはまさにテック大国(たいこく)・アメリカの(ひかり)(かげ)というべきものでした。

オックスフォード大学が認定(にんてい) あと10(ねん)で「消える(きえる)職業(しょくぎょう)」「なくなる仕事(しごと)

〔photo〕gettyimages

ベイエリアはテック企業(きぎょう)(きゅう)成長(せいちょう)してきたことで多く(おおく)若い(わかい)ビリオネアが誕生(たんじょう)している一方(いっぽう)、その(うら)ではホームレス()する人々(ひとびと)急増(きゅうぞう)しています。今回(こんかい)はそんなベイエリアで()一部始終(いちぶしじゅう)(ちょう)格差(かくさ)大国(たいこく)のリアルを紹介(しょうかい)したいと思い(おもい)ます。

米国(べいこく)では昨年(さくねん)(まつ)混乱(こんらん)(うそ)のように、今年(ことし)入っ(はいっ)株価(かぶか)急騰(きゅうとう)しダウ平均(へいきん)やS&P500といった主要(しゅよう)株式(かぶしき)指数(しすう)度々(たびたび)史上(しじょう)(さい)高値(たかね)更新(こうしん)しています。そして、その原動力(げんどうりょく)となっているのがテック企業(きぎょう)です。

米国(べいこく)経済(けいざい)をけん引するテック企業(きぎょう)というと真っ先(まっさき)にGAFA(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル)を思い浮かべる(おもいうかべる)(ほう)もいるでしょうが、今年(ことし)相場(そうば)をけん引しているのはより若い(わかい)企業(きぎょう)です。

ソフトバンクのビジョンファンドに代表(だいひょう)されるように、巨額(きょがく)のマネーが()上場(じょうじょう)企業(きぎょう)価値(かち)上昇(じょうしょう)支え(ささえ)てきましたが、いよいよ上場(じょうじょう)しなければ資金(しきん)需要(じゅよう)満たせ(みたせ)ないサイズにまで成長(せいちょう)した巨大(きょだい)()上場(じょうじょう)テック企業(きぎょう)今年(ことし)入っ(はいっ)続々(ぞくぞく)上場(じょうじょう)しています。

20(だい)、30(だい)の「テック長者(ちょうじゃ)たち」

2019(ねん)前半(ぜんはん)だけでも、記事(きじ)執筆(しっぴつ)時点(じてん)時価(じか)総額(そうがく)大きい(おおきい)(ほう)から、配車(はいしゃ)アプリ世界(せかい)最大手(さいおおて)のウーバー((やく)8.0(ちょう)(えん))、ビデオカンファレンスアプリの大手(おおて)ズーム((やく)2.9(ちょう)(えん))、ウーバーと同業(どうぎょう)の2番手(ばんて)リフト((やく)2.0(ちょう)(えん))、チャットアプリのスラック((やく)1.8(ちょう)(えん))、画像(がぞう)SNSのピンタレスト((やく)1.5(ちょう)(えん))、代替(だいたい)(にく)のビヨンドミート((やく)1.1(ちょう)(えん))と、続々(ぞくぞく)メガIPO(新規(しんき)株式(かぶしき)公開(こうかい)行わ(おこなわ)れています。

日本(にっぽん)企業(きぎょう)時価(じか)総額(そうがく)比較(ひかく)すると、ビヨンドミート以外(いがい)は100()(ない)にランクインしてきますし、ウーバーに至っ(いたっ)てはトヨタ、ソフトバンク、NTT、NTTドコモという(だれ)もが知っ(しっ)ている企業(きぎょう)次ぐ(つぐ)()相当(そうとう)します。こうした巨大(きょだい)価値(かち)にまで創業(そうぎょう)からわずか10(ねん)程度(ていど)成長(せいちょう)し、続々(ぞくぞく)上場(じょうじょう)していることからも米国(べいこく)経済(けいざい)(そこ)知れ(しれ)ないパワーを感じ(かんじ)られます。

そして、この(なか)でウーバー、リフト、スラック、ピンタレストがサンフランシスコに、ズームもサンフランシスコから(くるま)で1時間(じかん)ほどのサンノゼと、ビヨンドミート以外(いがい)全て(すべて)メガIPO企業(きぎょう)がベイエリアに本拠(ほんきょ)置い(おい)ています。

()にも同じく(おなじく)ベイエリアに本拠(ほんきょ)置く(おく)民泊(みんぱく)世界(せかい)最大手(さいおおて)のエアビーアンドビー、オフィスシェアの世界(せかい)最大手(さいおおて)ウィワーク、ビッグデータ解析(かいせき)サービスのパランティアなどが、近い(ちかい)将来(しょうらい)(すう)(ちょう)(えん)単位(たんい)時価(じか)総額(そうがく)でIPOすること確実視(かくじつし)されています。

〔photo〕gettyimages

好調(こうちょう)米国(べいこく)株式(かぶしき)市場(しじょう)恩恵(おんけい)最も(もっとも)受け(うけ)ているので当然(とうぜん)ですが、今回(こんかい)訪問(ほうもん)でミーティングをしたベイエリアに拠点(きょてん)置く(おく)大手(おおて)のプライベートバンキングの担当(たんとう)(しゃ)たちも、富裕(ふゆう)(そう)向け(むけ)金融(きんゆう)サービスはとても好調(こうちょう)だと(くち)をそろえていました。

100(まん)ドル((やく)1.1(おく)(えん)以上(いじょう)投資(とうし)可能(かのう)金融(きんゆう)資産(しさん)持つ(もつ)ミリオネア((おく)(まん)長者(ちょうじゃ))も、上記(じょうき)のIPOラッシュを通じて新た(あらた)にたくさん誕生(たんじょう)していて、ウーバー1(しゃ)だけで1,000(にん)近く(ちかく)上記(じょうき)のIPOを全て(すべて)合算(がっさん)すると5,000(にん)以上(いじょう)(おく)(まん)長者(ちょうじゃ)誕生(たんじょう)する()られています。

そのほとんどが20(だい)・30(だい)若者(わかもの)ですから、その多く(おおく)()資産(しさん)一部(いちぶ)次世代(じせだい)のテックスタートアップへの投資(とうし)回し(まわし)、それが中長期(ちゅうちょうき)(てき)(つぎ)のメガIPOを生む(うむ)ことになり、ベイエリアのスタートアップを取り巻く(とりまく)生態(せいたい)(けい)益々(ますます)拡大(かくだい)していくでしょう。

帝国(ていこく)()するGAFA

もちろん、こうしたIPO銘柄(めいがら)だけでなくGAFAの株価(かぶか)業績(ぎょうせき)好調(こうちょう)です。GAFAの(うち)、シアトルに本拠(ほんきょ)置く(おく)アマゾンを除く(のぞく)(しゃ)がベイエリアに拠点(きょてん)置い(おい)ています。ちなみにアマゾンと同じく(おなじく)シアトルに本拠(ほんきょ)置い(おい)ているマイクロソフト、GAFAのG(グーグル)と2つのA(アマゾン、アップル)の4(しゃ)時価(じか)総額(そうがく)()世界(せかい)トップ4をここ(すう)(ねん)安定(あんてい)して占め(しめ)ています。

最近(さいきん)では日本(にっぽん)でも広く(ひろく)報道(ほうどう)されている通り(とおり)、あまりに強く(つよく)なりすぎたこれら米国(べいこく)のメガテック企業(きぎょう)への反発(はんぱつ)強まっ(つよまっ)ています。EUは独禁法(どっきんほう)情報(じょうほう)保護(ほご)(ほう)適用(てきよう)して度々(たびたび)巨額(きょがく)制裁(せいさい)(きん)課し(かし)ていますし、日本(にっぽん)政府(せいふ)国内(こくない)事業(じぎょう)(しゃ)保護(ほご)観点(かんてん)から独禁法(どっきんほう)適用(てきよう)検討(けんとう)しています。

ただ、現地(げんち)視察(しさつ)する限り(かぎり)GAFAに代表(だいひょう)されるメガテック企業(きぎょう)勢い(いきおい)微塵(みじん)陰り(かげり)感じ(かんじ)られません。今回(こんかい)訪問(ほうもん)では2017(ねん)に50(おく)ドル((やく)5,400(おく)(えん))の巨費(きょひ)投じ(とうじ)てアップルが完成(かんせい)させたアップルパークと呼ば(よば)れる本社(ほんしゃ)施設(しせつ)見学(けんがく)しました。

アップルパークの目玉(めだま)は、直径(ちょっけい)500メートルの完全(かんぜん)円形(えんけい)をした建造(けんぞう)(ぶつ)です。1つの建造(けんぞう)(ぶつ)としてはその大き(おおき)さもかかったコストも人類(じんるい)史上(しじょう)最大(さいだい)(きゅう)でしょう。あまりに大きい(おおきい)ため近く(ちかく)訪れ(おとずれ)てもその全容(ぜんよう)見渡せ(みわたせ)ません。

アップルパーク〔photo〕著者(ちょしゃ)撮影(さつえい)

この本社(ほんしゃ)施設(しせつ)訪れる(おとずれる)観光(かんこう)(きゃく)多い(おおい)ので、瀟洒(しょうしゃ)なビジターセンターが完備(かんび)されていてアップルパーク全体(ぜんたい)模型(もけい)展示(てんじ)され、階上(かいじょう)から上記(じょうき)のリング(がた)本社(ほんしゃ)ビルも()られるようになっています。

このビジターセンターにはアップルショップとカフェまであり、世界中(せかいじゅう)から多様(たよう)人種(じんしゅ)観光(かんこう)(きゃく)多数(たすう)集まっ(あつまっ)ていて、まるでグローバル資本(しほん)主義(しゅぎ)における聖地(せいち)巡礼(じゅんれい)のような様相(ようそう)呈し(ていし)ています。(わたし)小さな(ちいさな)(かみ)コップ1(はい)のカフェラテに500(えん)ほど払い(はらい)「お布施」をしてきました。

50(ねん)(ほど)(まえ)にヒッピーとオタク(しか)とした2(にん)若者(わかもの)始め(はじめ)会社(かいしゃ)今や(いまや)このようになっていることに感慨(かんがい)覚える(おぼえる)一方(いっぽう)、まるでSFに()てくる(あく)巨大(きょだい)施設(しせつ)のような威容(いよう)に、帝国(ていこく)()する米国(べいこく)のメガテック企業(きぎょう)本質(ほんしつ)表れ(あらわれ)ているという思い(おもい)持ち(もち)ました。

ベイエリアの(ひかり)(かげ)

GAFAではアップル以外(いがい)も、フェイスブックはメンローパークに10(おく)ドル((やく)1,100(おく)(えん))の巨費(きょひ)投じ(とうじ)建築(けんちく)(かい)巨匠(きょしょう)フランク・ゲーリー設計(せっけい)新しい(あたらしい)本社(ほんしゃ)施設(しせつ)完成(かんせい)させていますし、グーグルも現在(げんざい)本社(ほんしゃ)置い(おい)ているマウンテンビューやサンノゼで(だい)規模(きぼ)なオフィス拡張(かくちょう)プラン打ち出し(うちだし)ています。

グーグルは、グループ会社(かいしゃ)のサイドウォークラボで多数(たすう)のセンサーやカメラを用い(もちい)(まち)全体(ぜんたい)からビッグデータを収集(しゅうしゅう)し、AIを活用(かつよう)してユーティリティや交通(こうつう)システムを制御(せいぎょ)することで大幅(おおはば)効率(こうりつ)アップを目指す(めざす)スマートシティ開発(かいはつ)取り組ん(とりくん)でいますが、自社(じしゃ)オフィスもこうした知見(ちけん)活かし(いかし)てアップデートされていくようです。

こうしたメガテック企業(きぎょう)のオフィス拡張(かくちょう)都市(とし)(さい)開発(かいはつ)上記(じょうき)のような郊外(こうがい)にとどまらず、サンフランシスコ市内(しない)でも進行(しんこう)しています。現在(げんざい)、ベイエリアではここ20(ねん)(ほど)成長(せいちょう)主導(しゅどう)してきたネットを活用(かつよう)したB to Cビジネスから、ビッグデータ・AIを(じく)としたB to Bビジネスへと主役(しゅやく)がシフトしつつあります。

GAFAの(なか)でもアマゾンやグーグル、()にもマイクロソフトにおいて、これまでの消費(しょうひ)(しゃ)向け(むけ)ビジネスからクラウドを筆頭(ひっとう)とするB to Bビジネスの存在(そんざい)(かん)増し(まし)てきていることがその象徴(しょうちょう)ですが、このB to Bテックビジネスの勝ち(かち)(ぐみ)代表(だいひょう)(かく)であるセールスフォースは、サンフランシスコ市内(しない)(さい)高層(こうそう)自社(じしゃ)ビルを完成(かんせい)させました。

セールスフォースタワー〔photo〕筆者(ひっしゃ)撮影(さつえい)

その()もセールスフォースタワーといいますが、(ちょう)高層(こうそう)ビルだけでなく隣接(りんせつ)するバスターミナルと合わせ(あわせ)(だい)規模(きぼ)(さい)開発(かいはつ)となっていて、このターミナルの屋上(おくじょう)には空中(くうちゅう)庭園(ていえん)整備(せいび)されており、無料(むりょう)一般(いっぱん)開放(かいほう)されています。(わたし)子供(こども)一緒(いっしょ)休日(きゅうじつ)にこの庭園(ていえん)訪れ(おとずれ)ましたが、プレイグランドも整備(せいび)されている(うえ)にボード・卓上(たくじょう)ゲームも無料(むりょう)貸し出し(かしだし)てくれ、(すう)時間(じかん)タダで楽しく(たのしく)遊べ(あそべ)ました。写真(しゃしん)にあるようにゴンドラで地上(ちじょう)まで下り(おり)られるようになっていてとても遊び心(あそびごころ)溢れる(あふれる)施設(しせつ)です。

このように、ベイエリア全域(ぜんいき)でテック企業(きぎょう)主導(しゅどう)する(かたち)()もくらむばかりの豪華(ごうか)(だい)規模(きぼ)開発(かいはつ)多数(たすう)進行(しんこう)している一方(いっぽう)、サンフランシスコの市内(しない)ではこうした成長(せいちょう)から取り残さ(とりのこさ)れた(かげ)部分(ぶぶん)頻繁(ひんぱん)目の当たり(まのあたり)にしました。

テクノロジーに取り残さ(とりのこさ)れた(ひと)たち

サンフランシスコはいまやホームレスの(かず)全米(ぜんべい)でも最も(もっとも)多い(おおい)都市(とし)の1つになってしまっており、(まち)中心(ちゅうしん)()ではブロックごとに複数(ふくすう)姿(すがた)見かけ(みかけ)ました。

サンフランシスコでは話題(わだい)無人(むじん)スーパーAmazon Goを訪れ(おとずれ)、その画像(がぞう)認識(にんしき)正確(せいかく)さと時間(じかん)効率(こうりつ)(たか)さに感銘(かんめい)受け(うけ)ましたが、Amazon Goから(いち)()(がい)出る(でる)とホームレスの姿(すがた)がすぐ()入り(はいり)最新(さいしん)テクノロジーと取り残さ(とりのこさ)れた(ひと)たちとの残酷(ざんこく)なまでのギャップという、ある意味(いみ)現在(げんざい)のベイエリアを象徴(しょうちょう)する光景(こうけい)広がっ(ひろがっ)ていました。

Amazon Go〔photo〕著者(ちょしゃ)撮影(さつえい)

エンジニアを中心(ちゅうしん)としてテック企業(きぎょう)報酬(ほうしゅう)はうなぎのぼりで、そうしたエリートたちに人気(にんき)のサンフランシスコ中心(ちゅうしん)()では、50-60㎡しかないスタジオや1ベッドルームの家賃(やちん)(つき)50(まん)(えん)超える(こえる)こと珍しく(めずらしく)ありません。

家族(かぞく)生活(せいかつ)する2ベッドルーム以上(いじょう)は80-100(まん)(えん)からさらに高く(たかく)なるために、テック長者(ちょうじゃ)大手(おおて)テック企業(きぎょう)働く(はたらく)エリートエンジニアしか()中心(ちゅうしん)()には住め(すめ)ないと、一般(いっぱん)(てき)見れ(みれ)ばとても(こう)報酬(ほうしゅう)であるはずのプライベートバンカーたちもこぼしていました。

グーグルが上記(じょうき)のマウンテンビューの本社(ほんしゃ)開発(かいはつ)一環(いっかん)として1(まん)()もの住宅(じゅうたく)整備(せいび)し、その一定(いってい)割合(わりあい)(てい)所得(しょとく)(しゃ)でも利用(りよう)できる住居(じゅうきょ)とすると発表(はっぴょう)しましたが、まさに焼石(やけいし)(みず)という感じ(かんじ)です。住宅(じゅうたく)家賃(やちん)価格(かかく)上昇(じょうしょう)するとベイエリア全体(ぜんたい)でさらにホームレスの(かず)増え(ふえ)AIの利用(りよう)シーンが増え(ふえ)(しょう)(じん)()進む(すすむ)格差(かくさ)もより拡大(かくだい)していくでしょう。

21世紀(せいき)におけるテクノロジーの計り(はかり)知れ(しれ)ないポテンシャルを感じ(かんじ)させてくれる一方(いっぽう)、テクノロジーの恩恵(おんけい)全面(ぜんめん)受け(うけ)ている(ひと)取り残さ(とりのこさ)れた(ひと)たちとの強烈(きょうれつ)格差(かくさ)がクリアになっているベイエリアの現状(げんじょう)は、今後(こんご)グローバルで起き(おき)ていく社会(しゃかい)トレンドの前触れ(まえぶれ)であるように感じ(かんじ)ました。

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