被災(ひさい)()の5(ねん) 広島(ひろしま)土砂(どしゃ)災害(さいがい)】<1>早め(はやめ)避難(ひなん)(いのち)守る(まもる)ため (おっと)(ひだり)(あし)失っ(うしなっ)悲しみ(かなしみ)、もう(だれ)にも…

自分(じぶん)(いのち)自分(じぶん)守る(まもる)ため、早め(はやめ)避難(ひなん)続け(つずけ)ます」。(おっと)遺影(いえい)()話す(はなす)孝子(たかこ)さん(撮影(さつえい)山崎(やまざき)(あきら)

 広島(ひろしま)県内(けんない)各地(かくち)大雨(おおあめ)降っ(ふっ)た7(つき)21(にち)自宅(じたく)周辺(しゅうへん)避難(ひなん)指示(しじ)()(とき)宮本(みやもと)孝子(たかこ)さん(79)=広島(ひろしま)()安佐北(あさきた)()可部東(かべひがし)=は、いち早く近所(きんじょ)のかかりつけ病院(びょういん)避難(ひなん)した。5(ねん)(まえ)広島(ひろしま)土砂(どしゃ)災害(さいがい)(おっと)敏治(としはる)さん=当時(とうじ)(74)=と自ら(みずから)(ひだり)(あし)失っ(うしなっ)た。「1(にん)移動(いどう)できないから、余計(よけい)早く(はやく)準備(じゅんび)しないとね」。そう言っ(いっ)車椅子(くるまいす)をさすった。

 ▽のまれた自宅(じたく)

 2014(ねん)8(つき)20(にち)未明(みめい)衝撃(しょうげき)(おん)()覚め(さめ)た。部屋(へや)敏治(としはる)さんが駆け込ん(かけこん)できた。「(つぎ)来る(くる)逃げよ(にげよ)う」。避難(ひなん)しようとした瞬間(しゅんかん)、2(にん)自宅(じたく)とともに土砂(どしゃ)にのまれた。

 土砂(どしゃ)とがれきで身動き(みうごき)できない。「大丈夫(だいじょうぶ)か」。近く(ちかく)から(おっと)(こえ)聞こえ(きこえ)た。「明るく(あかるく)なったら助け(たすけ)来る(くる)から。その(とき)大きな(おおきな)(こえ)出そ(だそ)うな」。意識(いしき)がある(なか)聞い(きい)最後(さいご)言葉(ことば)だった。

 2(にん)(やく)10時間(じかん)()救助(きゅうじょ)された。敏治(としはる)さんは3(にち)()(からだ)一部(いちぶ)長時間(ちょうじかん)圧迫(あっぱく)され、全身(ぜんしん)有毒(ゆうどく)物質(ぶっしつ)流れる(ながれる)クラッシュ症候群(しょうこうぐん)のため亡くなっ(なくなっ)た。孝子(たかこ)さんは3()手術(しゅじゅつ)(すえ)車椅子(くるまいす)生活(せいかつ)になった。

 「自分(じぶん)自分(じぶん)でなくなったみたい」と孝子(たかこ)さん。台所(だいどころ)立て(たて)ない。好き(すき)だったドライブも1(にん)では行け(いけ)ない。いつもコーヒーを入れ(いれ)てくれ、けんかをした翌日(よくじつ)仕事(しごと)帰り(がえり)(はな)買っ(かっ)てきてくれた(おっと)はいない。

 (おっと)との思い出(おもいで)詰まっ(つまっ)自宅(じたく)(あと)自ら(みずから)(あし)立ち(たち)たい―。災害(さいがい)から2(ねん)(はん)()義足(ぎそく)歩く(あるく)訓練(くんれん)始め(はじめ)た。(しゅう)3(かい)のリハビリに励み(はげみ)歩行(ほこう)()使え(つかえ)歩ける(あるける)ようになった。だが、昨春(さくしゅん)今春(こんしゅん)(こし)痛め(いため)一時(いちじ)寝たきり(ねたきり)になった。年々(ねんねん)病気(びょうき)増え(ふえ)た。

 ▽伝え(つたえ)たい一心(いっしん)

 老い(おい)(あし)失い(うしない)(なに)ができるか。生き(いき)ていていいのか。そんな思い(おもい)(あたま)をよぎる。「()早い(はやい)(もの)勝ち(かち)、と思う(おもう)(とき)がある」と言う(いう)

 それでも自ら(みずから)奮い立た(ふるいたた)せる。支え(ささえ)てくれる3(にん)子ども(こども)たちのために。(いま)もかなっていない、自宅(じたく)跡地(あとち)自ら(みずから)(あし)立つ(たつ)目標(もくひょう)のために。

 被災(ひさい)()自宅(じたく)(あと)近く(ちかく)息子(むすこ)(いえ)()寄せ(よせ)た。請わ(こわ)れれば人前(ひとまえ)()た。広島(ひろしま)(けん)()営ん(いとなん)犠牲(ぎせい)(しゃ)追悼(ついとう)(しき)で15、17(ねん)、それぞれ遺族(いぞく)代表(だいひょう)としてあいさつした。早め(はやめ)避難(ひなん)し、自分(じぶん)(いのち)自分(じぶん)守る(まもる)大切(たいせつ)さを()をもって伝え(つたえ)たい一心(いっしん)だった。

 しかし、昨年(さくねん)7(つき)西日本(にしにほん)豪雨(ごうう)多く(おおく)(いのち)奪わ(うばわ)れた。(あし)不自由(ふじゆう)(ひと)犠牲(ぎせい)になったとのニュースに、特に(とくに)(むね)締め付け(しめつけ)られた。「周囲(しゅうい)遠慮(えんりょ)する気持ち(きもち)(いま)痛い(いたい)ほど分かり(わかり)ます」

 あの()から5(ねん)広島(ひろしま)土砂(どしゃ)災害(さいがい)()()出す(だす)のが遅れ(おくれ)避難(ひなん)勧告(かんこく)指示(しじ)は、西日本(にしにほん)豪雨(ごうう)()て、早め(はやめ)発表(はっぴょう)しようとする自治体(じちたい)姿勢(しせい)鮮明(せんめい)になった。だからこそ、と(ちから)込める(こめる)。「五体(ごたい)満足(まんぞく)(ひと)なら、早く(はやく)逃げ(にげ)られる」。災害(さいがい)突如(とつじょ)家族(かぞく)失う(うしなう)悲しみ(かなしみ)を、もう(だれ)にも味わっ(あじわっ)てほしくない。その思い(おもい)膨らん(ふくらん)でいる。(久保田(くぼた)(つよし)

    ◇

 77(にん)亡くなっ(なくなっ)広島(ひろしま)土砂(どしゃ)災害(さいがい)今月(こんげつ)20(にち)発生(はっせい)から5(ねん)迎える(むかえる)癒え(いえ)悲しみ(かなしみ)(なか)懸命(けんめい)(まえ)向く(むく)被災(ひさい)(しゃ)たちの(いま)追っ(おっ)た。

 <クリック>広島(ひろしま)土砂(どしゃ)災害(さいがい) 2014(ねん)8(つき)20(にち)未明(みめい)積乱雲(せきらんうん)連なる(つらなる)(せん)(じょう)降水(こうすい)(たい)」がもたらした集中(しゅうちゅう)豪雨(ごうう)により広島(ひろしま)()安佐南(あさみなみ)()安佐北(あさきた)()(だい)規模(きぼ)土石流(どせきりゅう)(がけ)崩れ(くずれ)発生(はっせい)災害(さいがい)関連(かんれん)()の3(にん)含め(ふくめ)、2〜89(さい)の77(にん)亡くなっ(なくなっ)た。罹災(りさい)(りさい)証明(しょうめい)(しょ)発行(はっこう)するための「被災(ひさい)(しゃ)台帳(だいちょう)」の登録(とうろく)(しゃ)今年(ことし)3(つき)19(にち)現在(げんざい)、4389世帯(せたい)1(まん)711(にん)。うち住宅(じゅうたく)全壊(ぜんかい)は213世帯(せたい)439(にん)(だい)規模(きぼ)半壊(はんかい)76世帯(せたい)185(にん)半壊(はんかい)224世帯(せたい)489(にん)災害(さいがい)発生(はっせい)直後(ちょくご)には最大(さいだい)904世帯(せたい)2354(にん)小学校(しょうがっこう)などに避難(ひなん)した。

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